
魔術はささやく
宮部みゆき
新潮文庫
なんとなんとなんと。この小説って、平成元年に出版されてるんですね。
24年前?25か?うはあ。四半世紀前ですか!クオーターですか!ビビる。
ひっさびさにひっさびさに再読して、全然内容を覚えていなかったので、
有り難いことに再び読書の楽しみを味わいまくり、みたいな感じです。おもろかった!
宮部みゆきの小説って、たいてい?ほとんど?冒頭に、他の小説の一文を
引用しますよね。それがかっこいい。素敵。これって、海外の小説の影響なのかしら?
別の作品の一文で、自らの作品のテーマを言い表してるようなものを探して、
冒頭に掲げる。他者の言葉で、自らを語ろうとする行為?
これってオマージュなんやろか?照れ隠しなんやろか?それとも遊び心?
単純に、単純に、小説が好きで好きで仕方ないから、自分の好きな言葉を選んで、
「わかる、これわかる!」という言葉を引っ張ってきて、「こんな思いで自分も書きました」
と言いたいから引用するんちゃうかなあ?それっていいですよね。純粋ですよね。
愛だろ、愛。うはあ。むかしなつかしのCMみたいだ。
あ、この文庫の最後の解説で、北上次郎氏が、「宮部みゆきは<愛の作家>だ」という
ことを言っておられまして、うへえ~凄いなあホンマそうやなあ、と至極納得しました。
作家デビューの時からずっと、宮部みゆきは愛の作家だったのだ。
愛のある正義の作家?というか。とにかくね、素敵なのですよね。愛だよなあ、愛。
で、この作品ですが、まあ内容は文句なしにおもろかった!すげえぜこれ。
今読んでも、全然古さを感じないのは何故かしら?僕の頭が止まってるだけか、、、
催眠暗示とかサブリミナル広告とか、この2013年の現代社会ではどれだけ
通じるネタなのかどうか全然わからないのですが、とにかく文章が全然古びてない、
ように、感じるのです。僕は。すげえよ宮部みゆき。素敵過ぎるよ。
文章が、まるで、目に飛び込んでくるみたいなんです。
なんでこないに容易に情景が浮かぶのか。本当に、凄い。喚起力が。
「スナーク狩り」も、まるで小説読みつつ映画観てる、みたいなバッシバシの
エクスタシーを感じたのですが、これも凄いね。こんなに凄かったんだねえ。
ドラマ化されてるみたいですね。観たい!観たい!レンタルショップにあるのか?
吉田修一の「悪人」は、小説も映画も大好きなんですが、あんな感じの幸福な融合に
なってたらいいなあ~と思うのです。
宮部みゆきのとんでもない小説が、これまたとんでもない映画やアニメになったら、
そりゃもう日本のエンタテイメントの至福の宝だと思うのです。
でも、自分だけがこの楽しさをわかっていればいいや、と思う矛盾した気持ちもあるし。
くう、罪作りであります宮部みゆき。でもとにかくおもろいからやっぱ広く人口に膾炙せな、ね。
ってか、もうしてるか。宮部みゆきは国民作家としての地位を確立しているや否や?
してると思うのですが、、、どうか?うーむ。どうなんでしょうね?
あと、タイトルがいいですよね~。魔術は「ささやく」のですなあ。
読後、その意味がわかる?というかわかった気になっているのですが、そう、ささやく。
ハイロウズのヒロトが、「二匹のマシンガン」の歌詞で、
「悪魔は叫ばない。ささやいているだけ」と歌っていましたが、そんなところとリンクしたのです。
全然完璧に方向性が無茶苦茶でんがな、、、ですが、、、
自分の中ではリンクしちゃったのでしょうがない。宮部みゆきもヒロトも凄いぜ素敵だぜ。
とにかくとにかく、自分のなかでは全く古さを感じず。これぞ読書の至福だぜ、を、
存分に味わえる一作でした。再読できて良かったなあ。感謝感謝。