最近、フジファブリックの志村正彦さんの著書「東京、音楽、ロックンロール 完全版」を買いまして、
それを大事に大事にゆっくり読もうと思っていたのに、あっちゅう間に一日で読んでしまいました。
まあ、しゃあない。志村さんがあの時、何を思って何を考えていたのか、知りたいもの知りたかったもの。
大事に大事に、今後も読み返していきたい本です。再読を重ねたい一冊です。
で、フジファブリックの4枚目のアルバム「クロニクル」ですが、これがね、本当に自分にとって、大切な大好きなアルバムなんですよね。
ふとした時に、思い出したように聴きたくなる。いつもいつも、飽きるほどドンドンと別の、別の、新たな、新たな音楽を聴こう聴こうとする日々ですが、
「クロニクル」は、またそこに戻っていきたくなるアルバムなんだよなあ。この時の志村さんの声を聴きたくなるアルバムなんだなあ。
個人的には、ここ数年で自分の知ったアルバムの中では断トツでめちゃんこ好きなアルバムですね。
B’Zの稲葉さんのソロ1STアルバム「マグマ」に近いものを感じます。何故か。
「マグマ」が、稲葉浩志という稀有なイチ個人の赤裸々な自白だとしたら、「クロニクル」も同じく、志村正彦という稀有なイチ個人の赤裸々な思いを綴った感じでしょうか。
「マグマ」は、B’Zではなくて稲葉さんのソロアルバムであり、「クロニクル」は、あくまでもバンドのフジファブリックとしての作品なのですが、
どっちもね、ものすごくものすご~く、とことん個人的なアルバムだと感じたのですよね。
でもそう考えると、「フジファブリック」というバンド形態でありながら、ここまで「志村さん個人」を出しまくるアルバムを作った、
ということは、フジファブリックの懐の深さを物語るのだろうか?どうなんだろうか?とか思ったり。
「クロニクル」って、本当に本当に個人的なアルバムだと思います。志村正彦という稀有な存在が残した、個人の存在そのもの。
どうしてもどうしても、「クロニクル」を聴くときには、「ああ、志村さんは、もうこの世にいないんだなあ、、、」
という辛い事実を再認識してしまいますが、不思議ですよね。
もうこの世にいない志村さんが、それでもずっと、このアルバムを聴いている僕を勇気づけてくれますし、
多分、日本中の多くの、ロックンロール大好きな人々を勇気づけているのだろう、と思うと。
このアルバムの歌詞は、間違いなく、志村さんが感じた気持ちであり、
志村さんから、彼の大事な人を思って綴ったであろう言葉に満ちていると思うのですが、
それはそのまま「僕(或いは志村さんを大切に思う誰か)から志村さんを見ている曲」にもなってしまうなあ、と思うのです。
こんな気持ちになるアルバムはこんな目線を思い出させてくれる音楽、そうは無い。本当に凄いなあ。特別なアルバムだなあ。
アルバムタイトル曲でもある「クロニクル」の歌詞、
「君は僕の事を 僕は君の事を どうせ忘れちゃうんだ そう悩むのであります」
「キミに会えた事は キミのいない今日も 人生でかけがえの無いものでありつづけます」
これは、志村さんが、とても大切な誰かの事を思って書いた歌詞なのでしょうが、
それを聴く僕は、どうしても僕が志村さんを思う気持ちになってしまうのですよねえ。
志村さんの歌と、フジファブリックに会えたことは、志村さんのいない今日も、人生でかけがえの無いものでありつづけるのです。
「エイプリル」の歌詞
「神様は親切だから 僕らを出会わせて 神様は意地悪だから 僕らの道を別々の方へ」
「振り返らずに歩いていった その時僕は泣きそうになってしまったよ それぞれ違う方向に向かった 振り返らずに歩いていった」
これもそうなんだなあ。まさか志村さんが、こんなにも早く、振り返らずに歩いていってしまったなんて。僕は泣きそうですよ。
「東京、音楽、ロックンロール 完全版」の著書の最後のほうで、志村さんが道を歩いて行く後姿を写した写真があるのですが、
それがこの曲のイメージのまんまで、すごく好きな写真です。後姿があんなに絵になるなんて。志村さん、凄いぜ。
「ないものねだり」の歌詞
「あなたはいつの日も 例えば雨の日も 僕を悩ませるのでしょう」
これもね、志村さんを優しく悩ませる誰かがいたのでしょうし、僕はやっぱり、志村さんがいない現実に、悩み続けるのですよね。
それにしても、めちゃんこ切ない歌詞なのに、めちゃんこ優しいメロディーよね、この曲。
「Clock」も、とてもとても大好きな曲ですが、すごく切ないし、トコトン辛いであろう、その時の気持ちを、
それでも優しいメロディーで表現できる才能。志村さんは、やっぱスゲエなあ、そう思う次第です。
きっと僕は、この先一生、フジファブリックの「クロニクル」を、聴き続けるのだろうなあ。
このアルバムに出会えたことは、人生でかけがえのないものであり続けるのだろうなあ。
そんな音楽に出会う事ができたとは、人生もまだまだ捨てたもんじゃあねえなあ。
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