
陽気なギャングが地球を回す
井坂幸太郎
井坂さんの作品はたいがい読んでますが、これは読んでなかったので今頃ですが読了。
うむ、きっちりしっかりの井坂節。今回も大変楽しませていただきました。
井坂さんの小説のこの軽妙洒脱な会話文章、独特だなあ、と思うのです。
軽くて、オシャレで、嫌味もありつつ、優しくて、冷たいし、あったかいし、うむ、好きだ。
で、その登場人物の愉快な会話が、ちゃんと伏線に繋がってたり、後のほうで
単なるオシャレな会話だと思ってた部分に意味があることがわかったりするあの感じ。
うはあ、考えてらっしゃるんだなあ、という感動。あれ好きです。素敵なのです。
映画のほうは観てないんですが、成瀬役が大沢たかお、なんですねえ。へえ~。
読んでた時のイメージでは、堤真一が似合いそうなイメージで読んでたのですが、
大沢たかお、どう演じてるんだろう。気になるなあ。機会があれば観てみたい。
あ、「オーデュボンの祈り」のリョコウバトの説話の時でも思ったのですが、
井坂さんは動物に対して向ける視線が優しいなあ、と思うのです。素敵です。
今作で言いますと、久遠君の立ち位置がそれかなあ、と。
人間より柴犬や動物園のカバのほうが大事だぜ、ってね。なかなか言えんよね。言えんよ。
あ、合いかぎ造りの名人の田中さんは、「オーデュボンの祈り」で登場した
田中さんとなんらかの関係はあるのや否や。二人とも足が悪いようだし。
ここらへん深読みで考えてしまうのも井坂作品のニクいとこよね。いいよなあ。
あーでもあれだ、「オーデュボンの祈り」は、何故に映画化されないのだろう。
「桜」の役は絶対に絶対にオダギリジョーに演じてほしいのです。似合いすぎる筈。
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